基礎解説
利回り・年率・複利・リターンがそれぞれ何を表すかを、仮の計算例で整理し、数字を比べるときの注意点をまとめます。
投資の説明には、利回り、年率、複利、リターンといった言葉が並びます。似ているようで、何を基準にした数字かが違うため、混同すると結果の見え方を誤ることがあります。この記事では、それぞれの意味の違いと、数字を比べるときの注意点を、仮の計算で整理します。将来の成果を示すものではありません。
リターンと利回りの違い
リターンは、投資で得られた成果の大きさを指す広い言葉です。値上がり益や配当、利子を含めた損益全体を、金額か割合で表します。利回りは、投資額に対する1年あたりの収益の割合を指すことが多い言葉です。
- リターン:期間は問わない。「3年間で+10万円」「3年間で+9.3%」のように使う
- 利回り:1年あたりの割合として示されることが多い
- 総合利回り・配当利回り・債券の最終利回りなど、何を含めるかで種類が分かれる
利回りには「予想」や「想定」が含まれる場合があります。それは過去の実績ではなく、一定の仮定に基づく数字なので、実績の値と区別して読む必要があります。
年率と、期間ごとのリターン
年率は、1年あたりに換算した割合です。期間の違う投資を比べるには、年率にそろえると比較しやすくなります。
短い期間の数字を年率に直すときは、注意が必要です。仮に、3か月で+2%となった結果を12か月分(×4)に換算して「年率8%」とするのは、同じペースが1年続くという仮定を置いた数字にすぎません。実際には、期間の途中で値動きの向きが変わることがあります。
仮に、100万円が2年間で121万円になったとします。2年間のリターンは21%です。これを年率に直すと、毎年同じ割合で増えたとして、1.1の2乗が1.21なので、年率10%になります。21%を単純に2で割った10.5%とは、少し違う値です。
| 見方 | 数字 | 意味 |
|---|---|---|
| 累計リターン | 21% | 2年間の合計 |
| 単純な年平均 | 10.5% | 累計を年数で割っただけ |
| 年率(幾何平均) | 10% | 毎年同じ割合で増えたと仮定した換算 |
単利と複利の違い
単利は元本にだけ利息がつく計算で、複利は利息にも利息がつく計算です。仮に、100万円を年3%で3年運用するとします。
- 単利:100万円×3%×3年=9万円の利息で、合計109万円
- 複利:100万円×1.03の3乗=約109.27万円(利息は約9.27万円)
3年ではわずかな差ですが、期間が長くなるほど差は広がります。複利の効果は、複利シミュレーターで期間や利率を変えて確認できます。ここでの3%は計算のための仮定で、実際の運用で維持できるとは限りません。
平均リターンと分配金利回りの落とし穴
値動きのある資産では、リターンの平均の取り方に注意が必要です。仮に、ある年に+50%、翌年に-50%となったとします。単純な平均は(50-50)÷2=0%で、損益がないように見えます。しかし実際の資産は、100万円→150万円→75万円となり、2年で25%減ります。
このときの年率換算(幾何平均)は、0.75の平方根から1を引いた約-13.4%です。値動きが大きいほど、算術平均と実際の成果との差が開きやすくなります。数字を見るときは、どの平均を使っているかを確認する視点が欠かせません。
投資信託では、「分配金利回り」という数字を目にします。ただ、分配金は運用で得た収益の一部だけでなく、元本にあたる部分から払い出される場合もあり、受け取るたびに基準価額が下がります。
仮に、基準価額1万円の投資信託が年間500円を分配し、分配後の基準価額が9,500円になったとします。分配金利回りは500÷10,000=5%と表示されても、基準価額の下落分500円を含めた総合的な損益は、500-500=0円です。見るべきは、分配金と基準価額の変動を合算したトータルリターンです。
数字を比べるときのチェックポイント
- 期間:1年か、3年か、5年かで、見かけの数字は大きく変わる
- 税引前か税引後か、手数料を引いた後か
- 年率か累計か
- 実績か、想定・シミュレーションか
- 通貨:外貨建ての場合、為替の影響が含まれているか
複数の資産を同条件で見比べたいときは、3資産比較ツールや比較ページの利用も一つの手です。
考えるときの視点とリスク
利回りやリターンの数字は、過去の実績でも将来の想定でも、将来の結果を約束するものではありません。高い数字が示されている場合は、その分の値動きや信用面のリスクが伴っていないかを併せて確認します。複利は時間を味方にする考え方ですが、運用成果が毎年一定とは限らず、途中で元本を割り込む年もあり得ます。
数字の定義をそろえて比べることは、判断材料を整理する第一歩です。自分の状況に合うかどうかは、数字だけでなく目的や期間も踏まえて検討してください。
この記事について:「基礎解説」の記事です。内容は公的機関などの出典と照らして確認することを方針としています。投資助言ではありません。誤りにお気づきの場合はお問い合わせからご連絡ください。