比較・ツール解説
国内株式と海外株式を組み合わせる意味を、地域・為替・集中の観点から条件別に整理する。
株式に投資するとき、「国内だけでよいのか、海外も持つべきか」という疑問が出てきます。ここでは、どちらが優れているかではなく、組み合わせることで何が変わるのかを整理します。配分の比率に正解があるわけではありません。
国内株式と海外株式の違い
国内株式は、日本の企業の株式で、円で売買します。海外株式は、外国の企業の株式で、現地通貨建てが基本です。投資信託を通じて持つ場合は、円で購入しても、投資先の通貨の価格変動の影響を受けます。
| 項目 | 国内株式 | 海外株式 |
|---|---|---|
| 主な影響要因 | 日本の景気・企業業績・金利 | 投資先の景気・企業業績・金利 |
| 為替の影響 | 基本的になし | あり(円高・円安で円換算の結果が変わる) |
| 情報の入手 | 日本語の情報が多い | 言語や時差の壁がある |
| 投資の対象範囲 | 日本企業に限られる | 多様な国・業種に広がる |
地域を分ける意味
国や地域が違えば、景気の動きや金利、産業の構成も異なります。一つの国に集中すると、その国の景気後退や制度変更の影響を強く受けます。複数の地域に分けておくと、ある地域の不調を別の地域が和らげる可能性があります。ただし、世界の市場が同時に下がる局面もあり、分散で損失が避けられるわけではありません。
為替の影響を仮の数字で見る
海外株式の結果は、株価の変化と為替の変化の組み合わせで決まります。仮に、現地通貨建てで株価が5%上昇したとします。
- 同時に円が2%上昇(円高)した場合:1.05×0.98=1.029となり、円換算では約2.9%の上昇にとどまる。
- 同時に円が2%下落(円安)した場合:1.05×1.02=1.071となり、円換算では約7.1%の上昇となる。
株価が同じでも、為替によって結果が変わります。為替の方向は予想できるものではなく、為替による変動が分散になる面と、結果のぶれを増やす面の両方があります。
考え方の整理と向き不向き
- 国内中心が向きやすい条件:生活や将来の支出が円中心で、為替の変動を避けたい場合。
- 海外を加えるのが向きやすい条件:特定の国への集中を避け、投資先を広げたい場合。
- 配分の決め方:国内と海外の比率は人によって異なります。比率を決めたあとは、定期的に配分を見直すこともあります。
値動きの違う資産の組み合わせは、3資産比較ツールで確認できます。投資全般の分散の考え方は、比較ページの他の記事もご覧ください。
分散の効果を仮の数字で見る
分散の効果を、極端に単純化した仮の例で確かめます。国内株式Aと海外株式Bが、2年間で次のように動いたとします。
| 資産 | 1年目 | 2年目 | 2年間の合計 |
|---|---|---|---|
| A(国内株式)のみ | +10% | -4% | 1.10×0.96=1.056(+5.6%) |
| B(海外株式)のみ | -4% | +10% | 0.96×1.10=1.056(+5.6%) |
| AとBを半々 | +3% | +3% | 1.03×1.03=1.0609(約+6.1%) |
半々の1年目は、0.5×1.10+0.5×0.96=1.03です。2年目も同様に1.03となります。この例では、動きが交互に逆になるという都合のよい前提を置いているため、分散の効果が大きく出ています。現実の市場では、2つの資産が同じ方向に動くことも多く、ここまで効果が出るとは限りません。
この例からわかるのは、値動きの違う資産を組み合わせると、全体のぶれが小さくなる可能性があるという点です。リターンが高くなると断定できるものではなく、あくまで変動の幅に関する性質です。
投資信託には、世界の株式にまとめて投資するタイプと、特定の国や地域に絞ったタイプがあります。世界全体に投資するタイプの中にも、日本の株式は含まれます。そのため、全世界型を持ちながら国内株式の商品を追加すると、日本の比率が意図したより高くなることがあります。持ち方を組み合わせるときは、商品の投資対象や比率を、目論見書や運用報告書で確認しておくと、重複や偏りを防げます。
配分を見直す際は、国内と海外の比率が当初の想定からずれていないかを定期的に確認する方法があります。ずれを戻す操作(リバランス)には、売買の手数料や税がかかる場合もあるため、コストとの兼ね合いで頻度を決めます。無理に細かく調整する必要はありません。
考えるときの視点とリスク
海外株式には、為替リスクに加え、投資先の政治・制度・規制の変化といったリスクもあります。国内株式にも、日本経済の影響を強く受けるという集中のリスクがあります。分散は、リスクを減らす助けになりますが、なくす方法ではありません。
また、複数の商品を持つとコストや管理の手間も増える場合があります。自分が理解できる範囲で組み合わせ、運用コストや為替の影響を確認したうえで判断しましょう。当サイトの方針は編集方針にあります。
この記事について:「比較・ツール解説」の記事です。内容は公的機関などの出典と照らして確認することを方針としています。投資助言ではありません。誤りにお気づきの場合はお問い合わせからご連絡ください。