基礎解説
投資でいうリスクとリターンの意味と、両者の関係を具体例を交えて初心者向けに解説します。
投資の話では「リスク」と「リターン」という言葉が頻繁に出てきます。日常の「危険」というイメージとは少し意味が違うため、混乱しやすい部分です。この記事では、基本的な考え方を整理します。
リターンとは何か
リターンとは、投資によって得られた成果のことです。値上がり益、配当金、利子などを合わせたものを指し、投資額に対する割合(%)で表すのが一般的です。たとえば100万円が1年後に103万円になったなら、リターンは3%です。マイナスになれば損失を意味します。
リスクとは何か
投資でいうリスクは、「結果が予想からどれだけぶれる可能性があるか」という予測のつかなさの大きさを指します。上にも下にも動く幅のことで、損をする可能性だけを指す言葉ではありません。
- ブレ幅が大きい:大きく増える場合もあれば、大きく減る場合もある
- ブレ幅が小さい:結果の見通しは立てやすいが、大きな成果は期待しにくい
これとは別に、元本割れのリスク、発行元が支払えなくなる信用リスク、現金に換えにくい流動性リスクなど、さまざまな種類のリスクがあります。
リスクとリターンの関係
一般に、期待されるリターンが高い資産ほど、リスク(ブレ幅)も大きい傾向があるといわれます。リスクを取らずに高いリターンが得られるなら、誰もがそれを選ぶはずだからです。逆に、「リスクがないのに高いリターン」をうたう話には注意が必要だと広く指摘されています。
ただし、これはあくまで一般的な傾向です。リスクを多く取ったからといって、その分のリターンが得られる保証はありません。
損失からの回復には、損失より大きな上昇が必要
ブレ幅の大きさを実感するための計算例です。仮に100万円が20%下落して80万円になったとします。元の100万円に戻すには、80万円を何%増やせばよいでしょうか。80万円×1.25=100万円ですから、25%の上昇が必要です。下落率と回復に必要な上昇率は同じではなく、下がり幅が大きいほど回復に必要な上昇率はより大きくなります。
これは、大きなブレ幅を受け入れるときに、その後の回復にも時間がかかる可能性があることを示しています。
自分のリスク許容度を考える
リスク許容度とは、資産が減ったときにどれだけ耐えられるかの度合いです。次のような要素で決まります。
- 投資できる期間:長いほど値動きをならす余地がある
- 収入や貯蓄の安定性:生活に影響しない範囲か
- 気持ちの面:資産が減っても落ち着いていられるか
運用した場合の成果の幅を試算するには、複利計算ツールで利率を変えて比べるのも一つの方法です。また、NISAのツールでは制度の枠組みを確認できます。
リスクをゼロにすることはできませんが、影響を和らげる工夫はあります。代表的なものを紹介します。
- 分散:複数の資産や地域に分けることで、1つの対象の値下がりが全体に与える影響を抑える
- 期間:長く保有できるお金で運用し、途中で売らざるをえない状況を避ける
- 時間の分散:購入時期を分け、1回の購入価格に結果が左右されにくくする
- 金額:減っても生活に支障のない範囲に限る
これらはリスクの大きさを調整する手段であり、損失が出ないことを意味するものではありません。リスクとリターンは表裏一体のため、どの程度のブレ幅なら受け入れられるか、自分の基準を持つことが大切です。
たとえば、同じ「年平均3%」という成果でも、毎年ほぼ3%で推移した場合と、ある年は大きくプラス、ある年は大きくマイナスという推移を経た場合とでは、途中の資産額の動きがまったく異なります。平均が同じでも、途中で不安を感じて手放してしまうと、本来得られたはずの結果にならないこともあります。そのため、リターンの大きさだけでなく、ブレ幅も合わせて見ることが大切です。商品の説明資料では、過去の値動きの幅が示されていることがあり、確認の手がかりになります。ただし、過去の値動きは将来を保証しません。
リスクとリターンの関係を理解しておくと、「高い成果をうたう話」を冷静に見る助けになります。成果の大きさとあわせて、どれだけ減る可能性があるのかも確認する習慣が役立ちます。
考えるときの視点とリスク
リスクを取ることは、リターンの可能性を得る代わりに、損失の可能性も受け入れることです。過去の値動きは将来を約束するものではなく、思ったほど増えない、あるいは減ることもあります。また、リスクを避けすぎると、物価上昇で購買力が下がるなど別の不利益が生じることもあります。
この記事は一般的な解説であり、特定の商品を勧めるものではありません。あなたは、お金が一時的に2割減っても生活や気持ちを保てるでしょうか。その答えが、取れるリスクの大きさを考える出発点になります。
この記事について:「基礎解説」の記事です。内容は公的機関などの出典と照らして確認することを方針としています。投資助言ではありません。誤りにお気づきの場合はお問い合わせからご連絡ください。