基礎解説
「長期・積立・分散」の3つの考え方の意味と、それぞれのメリット・限界を初心者向けに整理します。
資産形成の入門では、「長期・積立・分散」という言葉がよく紹介されます。3つの考え方はそれぞれ役割が異なります。この記事では、各項目の意味と、メリット・限界を整理します。
長期:時間をかけることの意味
長期とは、数年から数十年といった長い期間、投資を続けることです。期間が長いほど、短期的な値動きの影響がならされやすくなります。また、得た利益を元本に組み入れて運用を続ける複利の効果が働く時間も増えます。
仮に100万円を年3%で運用できたとします。10年後は約134万円、20年後は約181万円です(1.03の10乗は約1.344、20乗は約1.806)。期間を2倍にすると、増加分は約34万円から約81万円と、2倍以上に広がります。ただし、これは毎年3%が一定で続くという仮定の計算で、実際の成果は年ごとに上下します。条件を変えて確認するには複利計算ツールが便利です。
積立:投資のタイミングを分ける
積立とは、毎月など定期的に、一定額を投資し続ける方法です。価格が高いときは少なく、低いときは多く買うことになるため、購入価格が平均化されやすいとされます。これをドルコスト平均法と呼びます。
たとえば毎月3万円を10年間続けると、投資した元本の合計は3万円×12か月×10年=360万円です。この元本がその後どう増減するかは、市場の動き次第です。積立の効果は、積立投資シミュレーションで、利率や期間を仮定して確かめられます。
分散:リスクを分ける
分散とは、複数の資産や地域に投資先を分けることです。1つの対象の値下がりが、資産全体に与える影響を小さくすることを狙います。詳しい考え方は、別の記事でも解説しています。
3つを組み合わせる意味と、それぞれの限界
3つの考え方は、それぞれ異なる種類の予測のつかなさに対処します。
- 長期:時間によって短期の値動きの影響をならす
- 積立:購入の時期を分け、タイミングを当てる難しさを和らげる
- 分散:投資先を分け、特定の対象への集中を避ける
一方で、限界もあります。積立は、価格が右肩上がりの局面では、最初にまとめて投資した場合より成果が小さくなることがあります。長期でも、期間中に大きく下がれば、その間の評価額は減ります。分散しても、市場全体が下がる局面では資産全体が下がります。
非課税制度などの仕組みも確認する
長期の積立では、運用益にかかる税金の扱いも成果に影響します。非課税制度の概要はNISAのページで確認できます。制度の内容は変更されることがあるため、最新の情報は公的機関の案内で確認してください。
考え方としては分かりやすい「長期・積立・分散」ですが、実際には続けること自体が難しい面があります。
- 資産が大きく減ったときに、積立をやめたくなる気持ちが生まれやすい
- 収入の変化やライフイベントで、積立額の見直しが必要になることがある
- 手数料(コスト)は長期になるほど積み重なるため、事前の確認が必要
そのため、無理のない積立額を設定し、途中で見直せる余地を残しておくことが、現実的な工夫として挙げられます。最初から大きな金額を設定するより、生活に影響しない範囲で始め、状況に応じて調整する、という考え方です。
なお、積立と一括投資のどちらが有利かは、その後の値動き次第で結果が変わります。価格が下がり続ける局面では積立のほうが有利になる場合があり、上がり続ける局面では一括のほうが有利になるのが一般的な整理です。将来の値動きは誰にも分からないため、どちらが優れているかを決めるより、自分の状況に合う方法を選ぶという見方があります。たとえば、まとまった資金がなく、毎月の収入から投資する人にとっては、積立が自然な形になります。
3つの考え方は、どれか1つだけでなく組み合わせて使うことが多いとされます。ただし、組み合わせても結果が保証されるわけではない点は、押さえておきたいところです。
考えるときの視点とリスク
「長期・積立・分散」は、リスクを減らす助けにはなりますが、元本割れの可能性をなくすものではありません。途中で資産が減る時期があっても、続けられるかどうかも大きな要素です。また、積立中に生活費が必要になり、不利な時期に売却せざるをえなくなるリスクもあります。
この記事は一般的な解説であり、特定の商品を勧めるものではありません。あなたは、何年後に、いくらくらいを使う予定でしょうか。その期間が、どの考え方をどの程度重視するかを決める手がかりになります。
この記事について:「基礎解説」の記事です。内容は公的機関などの出典と照らして確認することを方針としています。投資助言ではありません。誤りにお気づきの場合はお問い合わせからご連絡ください。