比較・ツール解説
表面利回りと実質利回りの計算の違いと、回収年数の読み方、結果に出ない前提を整理します。
不動産の広告で目にする利回りは、計算方法によって数字が大きく変わります。利回り計算ツールを使いながら、表面利回りと実質利回り、投資回収年数の意味と読み方を整理します。
入力項目の意味
- 物件価格:売買契約で支払う本体の金額です。
- 年間家賃収入:満室を前提にした1年分の家賃の合計です。空室は含まれていません。
- 年間経費:管理費、修繕積立金、固定資産税などの毎年かかる費用です。
- 購入時諸費用:仲介手数料、登記費用、不動産取得税、ローン手数料など、購入時にまとめてかかる費用です。
仮の数字で計算してみる
仮に、物件価格2,000万円、年間家賃収入150万円、年間経費30万円、購入時諸費用120万円とします。これは説明用の架空の数字で、実在の物件ではありません。
| 指標 | 式 | 結果 |
|---|---|---|
| 表面利回り | 150万円 ÷ 2,000万円 | 7.5% |
| 実質利回り | (150万円 − 30万円) ÷ (2,000万円 + 120万円) | 約5.7% |
| 回収年数 | 2,120万円 ÷ 120万円 | 約17.7年 |
同じ物件でも、経費と諸費用を入れるだけで7.5%から約5.7%に下がります。これが両者の違いです。
結果の読み方
表面利回りは物件同士をざっと並べるための入口の数字です。実質利回りは、実際に手元に残る収益に近い見方になります。回収年数は、投資額を年間の純収益で割った年数で、仮の例では約17.7年です。数字が小さいほど早く回収できる計算ですが、短ければ良いと単純には言えません。築年数や立地の条件が違えば、その後の家賃や修繕費も変わるためです。
結果に出ない前提と限界
- 空室や家賃の下落は反映されません。満室が続く前提の数字です。
- 大規模修繕や設備交換など、不定期に大きく出る費用は年間経費に含めにくいです。
- ローンの利息、所得税や住民税などの税金は含まれていません。
- 売却時の価格は考慮されません。回収年数は、物件を持ち続けた場合の単純な割り算です。
数字を使うときの確認のコツ
利回りを比べるときは、まず「どの利回りか」をそろえます。資料の表面利回りと、自分で計算した実質利回りを並べて比べると、条件が合わず判断を誤りやすくなります。次に、年間経費の中身を項目ごとに確認します。管理費、修繕積立金、税金、保険、管理委託費のうち、抜けているものがないかを見ます。
また、同じ表面利回りでも、築年数が古い物件は修繕費がかさむ可能性があり、新しい物件は価格が高めで利回りが低くなりがちです。つまり、利回りの高さは、リスクの大きさの裏返しである場合もあります。仮の例の実質利回り約5.7%を、経費が10万円増えた場合((150−40)÷2,120=約5.2%)でも計算し、感度を確かめておくと、数字の動きを理解しやすくなります。
なお、ローンを使う場合は、利回りが同じでも自己資金に対する収益は変わります。借入の金利が実質利回りを上回ると、返済後の手残りは小さくなります。利回りと金利の関係も、あわせて見ておきたい点です。
考えるときの視点とリスク
利回りは過去や現在の条件を整理する道具であり、将来の収益を示すものではありません。経費を低く見積もれば実質利回りは高く見えるため、入力した数字の根拠を確認することが大切です。空室、修繕、金利、売却価格の変動といったリスクは、利回りの外側にあります。複数の条件で入力し直し、数字がどう動くかを見ておくと、判断材料が整理しやすくなります。投資にはメリットとリスクの両方があります。記事の方針は編集方針、他の資産との並べ方は比較ページをご覧ください。計算は利回り計算ツールで試せます。
この記事について:「比較・ツール解説」の記事です。内容は公的機関などの出典と照らして確認することを方針としています。投資助言ではありません。誤りにお気づきの場合はお問い合わせからご連絡ください。