基礎解説
リバランスの目的、定期的に行う方法としきい値で行う方法、仮の計算例とコストや税金の注意点を整理した記事です。
資産運用を続けていると、値動きの違いによって、最初に決めた資産の配分比率がずれていきます。そのずれを元の比率に近づける作業が「リバランス」です。この記事では、リバランスの目的、代表的な方法、コストや注意点を解説します。
リバランスの目的
リバランスの主な目的は、利益の最大化ではなく、リスクの水準を当初の想定に保つことです。たとえば株式と債券を組み合わせている場合、株式が値上がりすると株式の比率が高まり、全体の値動きの大きさも当初より大きくなります。比率を戻すことで、想定していたリスクの範囲に近づけられます。
仮の計算例
仮に、株式70%・債券30%の配分で、合計1,000万円(株式700万円、債券300万円)を運用しているとします。株式が20%上昇し、債券は変わらなかったと仮定します。
| 項目 | 株式 | 債券 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 変動前 | 700万円 | 300万円 | 1,000万円 |
| 変動後 | 840万円 | 300万円 | 1,140万円 |
| 変動後の比率 | 約73.7% | 約26.3% | 100% |
| 目標配分での金額 | 798万円 | 342万円 | 1,140万円 |
目標の70%は、1,140万円×0.7=798万円です。現在の840万円との差42万円を株式から売却し、債券に振り替えれば、元の配分に戻ります(債券は300万円+42万円=342万円で30%)。これは配分の比率を戻す計算であり、今後の値動きを予想するものではありません。
代表的な方法
- 定期的に行う方法:年1回など、日付を決めて配分を確認し、ずれを戻す
- しきい値で行う方法:目標配分から一定の幅(たとえば±5ポイント)を超えたときに戻す
- 新規資金で調整する方法:売却せず、比率が低い資産に新しい積立資金を多く振り向ける
- 分配金や配当を、比率が低い資産に充てる方法
積立を続けている場合は、売却を伴わずに配分を調整できるため、コストや税金を抑えやすいという見方があります。積立の金額と期間の影響は積立シミュレーターで確認できます。
コストと税金の注意点
リバランスでは売却と購入が発生するため、次のコストを確認しておく必要があります。
- 売買手数料や、投資信託の場合の信託財産留保額など
- 課税口座で売却して利益が出ている場合の、譲渡益にかかる税金
- 非課税制度の口座内では売却による利益に課税されない一方、売却した分の枠の扱いは制度ごとのルールに従います(NISAシミュレーターや制度の公式情報で確認してください)
頻繁に行うほどコストが積み上がる可能性があるため、確認の頻度と実行の基準を決めておくことが一般的です。また、そもそも配分が少しずれるだけなら、実行しない選択もあり得ます。
配分の決め方と、見直す頻度の目安
リバランスをするには、基準となる配分が必要です。配分は、目標とする時期、許容できる値動きの大きさ、他の資産や収入の状況などを踏まえて決めます。たとえば、使う時期が近づいている資金は、値動きの小さい資産の比率を高めに置く、という考え方があります。一方、時期が遠い資金は、値動きの大きい資産の比率を高めに置くことも議論されます。どの配分が適切かは、人によって異なります。
見直す頻度について、定まった正解はありません。頻度を上げるほど配分は目標に近づきますが、売買の回数が増えてコストがかかります。頻度を下げるとコストは抑えられますが、配分のずれが大きくなることがあります。たとえば年に1回の確認とし、ずれが大きいときだけ調整する、という簡素な運用も一つの方法です。
なお、投資信託の中には、運用会社が内部で配分の調整を行う商品があります。この場合、自分でリバランスをする手間は減りますが、その分の費用が信託報酬などに含まれていないか、運用の方針と合っているかを、目論見書などの公式資料で確認することが大切です。
考えるときの視点とリスク
リバランスは、リスクの水準を保つ手段であって、収益を高める保証があるものではありません。値上がりした資産を売ると、その後さらに値上がりした場合は、保有を続けた場合より成果が小さくなる可能性があります。逆に、値下がりした資産を買い増すと、下落が続く場合は損失が大きくなる可能性もあります。
- 目標配分そのものが、自分の目的や許容度に合っているかが出発点です。
- 目標配分は、ライフプランの変化に合わせて見直す場合があります。
- 売買のコストと税金を、効果と比べて確認します。
- 1つのファンドの中で配分が自動調整される商品もあり、その場合は内部のコストも確認します。
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この記事について:「基礎解説」の記事です。内容は公的機関などの出典と照らして確認することを方針としています。投資助言ではありません。誤りにお気づきの場合はお問い合わせからご連絡ください。