基礎解説
ドルコスト平均法の仕組みを仮の計算例で確認し、メリットと限界、一括投資との違いを中立的に整理した記事です。
ドルコスト平均法は、毎月など一定の間隔で、一定の金額を買い続ける方法です。積立投資の基本的な考え方として広く紹介されていますが、万能な手法ではありません。この記事では、仕組みを仮の数字で確認したうえで、メリットと限界を整理します。
仕組みを仮の数字で確認する
仮に、毎月3万円ずつ3か月間、同じ投資信託を買うとします。基準価額(1万口あたり)が、1か月目10,000円、2か月目8,000円、3か月目12,000円だったと仮定します。
| 月 | 投資額 | 基準価額(1万口あたり) | 買える口数 |
|---|---|---|---|
| 1か月目 | 3万円 | 10,000円 | 3万口 |
| 2か月目 | 3万円 | 8,000円 | 3.75万口 |
| 3か月目 | 3万円 | 12,000円 | 2.5万口 |
| 合計 | 9万円 | – | 9.25万口 |
平均の取得単価は、9万円÷9.25万口×1万口=約9,730円です。基準価額の単純平均は(10,000+8,000+12,000)÷3=10,000円なので、価格が低いときに多くの口数を買う分、平均取得単価が単純平均より低くなりました。これがドルコスト平均法の仕組みです。この例は説明用の仮定であり、将来の価格を示すものではありません。自分の条件で試すには積立シミュレーターが使えます。
メリットとして挙げられる点
- 購入のタイミングを毎回悩まずに済み、感情に左右された売買を減らしやすい
- 少額から始められ、資金を時間的に分散できる
- 価格が下がったときにも買い続けるため、平均の取得単価が下がる場合がある
- 自動で積み立てる設定にすれば、継続しやすい
限界・注意点
ドルコスト平均法には、知っておくべき限界もあります。
- 価格が下がり続ける局面では、積立を続けても評価額はマイナスのままになりうる
- 価格が上昇し続ける局面では、手元資金を最初にまとめて投資した場合のほうが、結果が良くなることがある(逆に下落局面では、積立のほうが良くなることがある)
- 積立は損失を防ぐ仕組みではなく、購入時期を分けるだけである
- 購入のたびに手数料がかかる場合は、コストが積み上がる
- 積立を続けるには、毎月の収入と支出に余裕が必要である
どちらの方法が優れているかは、結果が出てからでないと分かりません。一括投資と積立のどちらが有利かは、その期間の値動きに左右されるため、一般論として優劣を断定することはできません。まとまった資金がある場合に、何回かに分けて投資するかどうかは、価格変動に対する自分の許容度とも関係します。
長期で続ける際の視点
積立は、長い期間続けるほど、効果もリスクも期間に比例して現れます。運用益が元本に上乗せされる複利の影響は、複利シミュレーターで確認できます。また、積立の対象を複数に分ける、非課税制度を活用するなどの工夫を組み合わせる考え方もあります。制度の仕組みはNISAシミュレーターも参考になります。
一括投資との比較で押さえたい点
積立と一括投資を比べるとき、「どちらが多く増えるか」を見がちですが、結果は期間中の値動きによって変わるため、事前には分かりません。比較するときは、むしろ「想定と違う値動きになったとき、自分はどれだけ耐えられるか」という視点が役立ちます。
仮に、まとまった資金を投資した直後に価格が下落した場合を想像すると、一括投資では含み損を一度に抱えるため、精神的な負担が大きくなる場合があります。積立なら、購入時期が分かれるため、その負担が和らぐという見方があります。一方で、投資しなかった資金は現金のまま残るため、その間は値上がりの恩恵を受けられません。この「後悔の種類」の違いが、積立を選ぶか一括にするかの判断材料になることもあります。
もう一つの視点は、資金の性質です。毎月の収入から投資するのであれば、そもそも積立以外の選択肢は限られます。一方、退職金や相続などでまとまった資金がある場合は、投資期間をどう分けるかを自分で決める必要があります。いずれの場合も、前提となる生活費の備えを先に確保しておくことが共通の土台になります。
考えるときの視点とリスク
ドルコスト平均法は、購入時期を分散して「高い時期にまとめて買う」リスクを和らげる一方で、「安い時期にまとめて買う」機会も同時に手放す方法です。どちらにも良し悪しがあり、結果は事後にしか分かりません。
- 積立でも元本割れの可能性があり、利益は保証されません。
- 積立額は、生活防衛資金を確保したうえで、無理のない範囲に設定します。
- 途中で積立を止める判断が、成果に大きく影響する場合があります。
- 対象の商品の値動き、信託報酬などのコストを事前に確認します。
本記事は一般的な情報の整理であり、特定の商品や投資方法を勧めるものではありません。
この記事について:「基礎解説」の記事です。内容は公的機関などの出典と照らして確認することを方針としています。投資助言ではありません。誤りにお気づきの場合はお問い合わせからご連絡ください。