基礎解説
景気の拡大・後退と、株・債券・金・現金それぞれの値動きの傾向を一般論として整理し、限界も確認する。
景気には良いときと悪いときの波があり、これを景気循環と呼びます。資産クラスごとに、景気の影響の受け方には傾向があるとされています。ただし傾向はあくまで過去の一般論であり、いつも同じ結果になるわけではありません。この記事では基本的な見方と限界を整理します。
景気循環とは何か
景気循環は、拡大、後退、回復といった局面を繰り返す動きを指します。企業の売上や雇用、物価、金利などが連動して変化します。ただし、各局面の長さや強さは毎回異なり、現在どの局面にあるかを正確に判断することは専門家でも難しいとされています。
景気指標の見方は、GDPと景気の基本を扱った記事も参考になります。
資産クラスごとの一般的な傾向
以下は、一般論として語られる傾向です。実際の値動きは、金利、物価、為替、市場の期待などによって変わります。
| 資産クラス | 景気との一般的な関係 | 主な注意点 |
|---|---|---|
| 株式 | 企業業績への期待を通じ、景気の良し悪しの影響を受けやすい | 値動きが大きく、先に動くことも遅れることもある |
| 債券 | 金利の変化の影響を受け、株式とは異なる動きをすることがある | 金利上昇で価格が下がる、発行体の信用リスク |
| 金 | 通貨や物価への不安など、景気以外の要因でも動く | 利息や配当を生まない、価格変動がある |
| 現金 | 価格は変動しないが、物価上昇の影響を受ける | インフレで実質的な価値が目減りしうる |
「景気が悪いと株が下がる」とは限らない
株価は、現在の景気そのものより、将来の企業業績への期待を反映して動くとされます。そのため、景気指標が悪くても株価が上がる場合や、その逆の場合もあります。景気と資産価格が同じタイミングで動くとは限らない点に注意が必要です。
債券や金も同様で、景気後退時にいつも株式の下落を和らげるわけではありません。局面によっては、複数の資産が同時に下がることもあります。
局面を当てるより、性質の違いを知って組み合わせる
景気の転換点を予想して資産を入れ替える方法は、判断を誤るリスクがあります。多くの個人投資家にとっては、性質の異なる資産を目的に合わせて組み合わせ、定期的に配分を整える方法の方が取り組みやすいといえます。
- 株式:成長への期待がある一方、値動きが大きい。
- 債券:比較的値動きが小さいとされるが、金利や信用の影響を受ける。
- 金:他の資産と異なる動きをすることがあるが、収益を生まない。
- 現金:すぐ使えて安定するが、物価上昇には弱い。
各資産を同じ条件で比べたいときは、3資産比較ツールで確認できます。物価と現金の関係は複利計算ツールで、仮の利率による試算もできます。
仮の数字で、現金の価値の変化を確かめる
景気循環とは別に、物価の変化も資産の価値に影響します。仮に、物価が年2%上がり続けると仮定すると、10年後に同じものを買うための金額は、約1.22倍(1.02の10乗≒1.219)になります。現金100万円は額面が変わらなくても、同じ商品を買える量は、約82万円分(100÷1.219≒82.0)に相当すると考えられます。
これはあくまで仮定の計算で、将来の物価を予想するものではありません。ただし、現金は安全に見えても、物価の影響を受けることを示しています。一方、株式や債券、金も、物価上昇に追いつくとは限りません。それぞれの資産で、どの要因の影響を受けやすいかを知っておくことが、組み合わせを考える出発点になります。
このように、景気の局面を当てようとするよりも、各資産がどんな要因に左右されるかを理解し、極端な偏りを避ける方が、判断の負担は小さくなります。資産の配分を整える考え方については、リバランスを扱った記事もあわせて参考にしてください。
また、同じ資産クラスの中でも、国や業種、債券の満期や発行体によって、景気や金利への反応は異なります。大きな分類だけで判断せず、中身の違いにも目を向けることが大切です。
考えるときの視点とリスク
景気循環と資産の関係は、あくまで過去の傾向を整理した一般論です。将来の景気や価格を予想するものではありません。傾向が崩れる場合もあり、分散しても損失が出る可能性があります。
自分の投資目的、期間、許容できる値動きの幅に照らして、どの資産をどの程度持つかを考えることが基本です。迷う場合は、運営方針を示した編集方針も確認しつつ、専門家に相談することもひとつの方法です。
この記事について:「基礎解説」の記事です。内容は公的機関などの出典と照らして確認することを方針としています。投資助言ではありません。誤りにお気づきの場合はお問い合わせからご連絡ください。