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NOIとキャップレート(還元利回り)の考え方を仮の数字で入門する

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基礎解説 約5分で読めます

この記事の要約
NOIの求め方とキャップレートによる価格の目安を、仮の数字と限界とあわせて整理する。
目次
  1. NOIとは何か
  2. 仮の数字でNOIを計算する
  3. キャップレートの考え方
  4. 表面利回りとの違い
  5. 使い方と限界
  6. 考えるときの視点とリスク

不動産の価値や収益性を話すとき、NOI(純営業収益)とキャップレート(還元利回り)という言葉がよく出てきます。難しく見えますが、考え方は「年間の営業収益を、利回りで割り戻して価値の目安にする」という単純な枠組みです。この記事では仮の数字で、入門としての使い方と限界を整理します。

NOIとは何か

NOIは、Net Operating Incomeの略で、物件が生み出す年間の収益から、運営にかかる費用を引いたものです。ローン返済や所有者個人の所得税は含めません。物件そのものの稼ぐ力を見るための指標だからです。

¥¥
イメージ図:入ってくるお金と出ていくお金を並べて、手残りを確認する
  • 加える:満室想定の賃料収入から空室や滞納の見込みを引いた実効収入
  • 引く:管理費、修繕費、固定資産税等、保険料、清掃費などの運営費
  • 含めない:ローンの元本・利息、減価償却費、所得税・住民税

運営費をどこまで入れるかで数字は変わります。修繕の積立を入れる人もいれば、実際に支出した分だけを入れる人もいるため、前提をそろえて比べることが大切です。

仮の数字でNOIを計算する

仮に、満室想定の年間賃料が600万円、空室・滞納の見込みを5%とします。実効収入は600×(1−0.05)=570万円です。年間の運営費を120万円と置くと、NOIは570−120=450万円となります。

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イメージ図:返済は長く続き、金利が変わると総額も変わる
項目 金額(仮)
満室想定賃料 600万円
空室・滞納見込み(5%) −30万円
実効収入 570万円
運営費 −120万円
NOI 450万円

この450万円が、ローンを考える前の「物件の営業収益」です。ここから返済額を引いたものが、手元に残るお金の目安になります。

キャップレートの考え方

キャップレートは、NOIを物件価格で割った利回りです。式で書くと、キャップレート=NOI÷価格です。逆に、NOIをキャップレートで割ると、価格の目安が得られます。これを直接還元法と呼びます。

上の例でNOIが450万円のとき、キャップレートの置き方によって価格の目安は次のように変わります。

キャップレート(仮) 価格の目安
4% 11,250万円
5% 9,000万円
6% 7,500万円

同じNOIでも、キャップレートが1%違うだけで、価格の目安は大きく動きます。キャップレートは、物件の立地、築年数、将来の収益の見通し、金利環境などを反映して市場で形成されるとされますが、どの水準が適切かは物件ごとに異なります。

表面利回りとの違い

表面利回りは、満室想定賃料を価格で割ったものです。価格9,000万円なら600÷9,000=約6.67%となります。同じ物件のキャップレートは5%でした。差が出るのは、空室見込みと運営費が引かれているためです。

イメージ図:性質の違うものを、同じ物差しで並べて比べる

広告などで目にする利回りが表面利回りの場合、運営費が引かれていない点に注意が必要です。実質的な収益力を見るには、NOIベースで考えるほうが比較しやすくなります。両者の違いは利回り計算ツールで数字を入れて確かめられます。

使い方と限界

NOIとキャップレートは、複数の物件を同じ物差しで比べるときに役立ちます。ローン条件や所有者の事情を除いて比べられるからです。一方で、限界もあります。

イメージ図:購入の前に、収入と支出の両方を確認する
  • 運営費の見積もりが甘いと、NOIが実態より高く出る
  • 将来の修繕や大きな設備更新は、単年のNOIに表れにくい
  • キャップレートは取引事例や見通しに左右され、一つの正解がない
  • ローンの返済負担や税金は含まれないため、手残りは別に確認が必要

返済後の収支は不動産キャッシュフロー計算で確認できます。

運営費の見落としが数字に与える影響も見ておきましょう。入居者入れ替え時の原状回復費、広告料、共用部の電気代、設備の保守契約などは、漏れやすい項目です。仮に、これらを含めず運営費を100万円と置くと、NOIは570−100=470万円となり、キャップレート5%での価格の目安は470÷0.05=9,400万円です。運営費120万円のときの9,000万円と比べて、400万円の差が生まれます。

キャップレートを自分で置く場合は、公表されている取引事例の資料や、不動産鑑定の考え方を解説した資料が、水準の幅を知る手がかりになります。ただし、それらの数値は物件や時期で異なり、自分の物件にそのまま当てはまるとは限りません。

考えるときの視点とリスク

キャップレートで逆算した価格は、あくまで目安です。仮定を少し変えるだけで結果が変わるため、保守的な空室率や運営費でも成り立つかを確認する姿勢が役立ちます。

  • 空室率と運営費を、複数のパターンで試す
  • 売り手側の資料に載っているNOIは、前提を自分で再確認する
  • キャップレートを物件価格の「正解」として扱わない
  • 利回りが高い物件は、その分リスクが織り込まれている可能性もある

本記事は考え方の整理であり、特定の物件や売買を勧めるものではありません。判断の前提は編集方針もご覧ください。

この記事について:「基礎解説」の記事です。内容は公的機関などの出典と照らして確認することを方針としています。投資助言ではありません。誤りにお気づきの場合はお問い合わせからご連絡ください。

出典・参考資料