基礎解説
金利の変化が債券と株式の価格に与える影響を、仮の数値例を使って初心者向けに整理します。
ニュースで「金利」の話題を目にしても、株式や債券とどうつながるのかは分かりにくいものです。この記事では、金利と債券・株式の価格の関係について、基本的な考え方を整理します。将来の金利や価格を予想するものではありません。
金利とは何か
金利とは、お金を貸し借りするときの「お金の使用料」の割合です。預金の利率や、住宅ローンの金利、国や企業が資金を借りるときの金利など、さまざまなものがあります。景気や物価、中央銀行の政策などの影響を受けて変わります。
債券と金利:逆に動きやすい理由
債券とは、国や企業がお金を借りるために発行する証券で、決まった利子を受け取り、満期に元本が戻る仕組みです。債券の価格は、一般に市場の金利と逆方向に動きやすいとされます。
簡単な仮定の例で考えます。額面100万円・利子が年1万円(利率1%)・満期が1年後の債券を持っているとします。その後、市場の金利が年2%に上がり、同じ条件で新しく買える債券が年2%の利子になったとします。すると、1%の債券は魅力が下がり、買ってもらうには価格を下げる必要が出てきます。満期に受け取る101万円を2%で割り引くと、101万円÷1.02=約99.0万円です。このように、金利が上がると既存の債券の価格は下がりやすくなります。反対に金利が下がれば、価格は上がりやすくなります。
満期までの期間が長い債券ほど、金利による価格の変動は大きくなる傾向があります。なお、満期まで保有すれば、発行元が支払える限り、約束された利子と元本を受け取れます。
株式と金利:複数の経路がある
株式と金利の関係は、債券ほど単純ではありません。主に次のような経路が考えられます。
- 企業の借入コスト:金利が上がると、借入の利払いが増え、利益を押し下げる可能性がある
- 投資先の比較:金利が上がると、預金や債券の魅力が相対的に高まり、株式から資金が移る可能性がある
- 将来利益の評価:将来の利益を現在の価値に直す際の割引率が高くなり、株価の評価が下がる要因になりうる
ただし、金利が上がるのは景気が良く、企業の業績が伸びている場面であることもあり、株価が上がるケースもあります。実際の動きは、他の要因と合わさって決まるため、一概には言えません。
身近な判断とのつながり
金利は、預金の利息だけでなく、住宅ローンや投資の成果にも影響します。たとえば、ローンの金利や物件の収益性の見方は、賃貸vs購入のツールや利回りのツールで試算できます。それぞれ前提を仮に置いて、金利が変わったときの違いを確かめる使い方ができます。
金利の種類を整理する
ひとくちに金利といっても、いくつかの種類があります。混同しないよう、整理しておきましょう。
- 政策金利:中央銀行が金融政策の目安として定める金利。景気や物価の調整に使われる
- 市場金利:債券市場などで日々の取引を通じて決まる金利
- 預金金利・ローン金利:金融機関が個人や企業向けに設定する金利。市場の動きを受けて見直される
これらは互いに影響し合いますが、同じタイミングで同じように動くとは限りません。また、金利が上がるとローンを組んでいる人の返済負担は増えうる一方、預金の利息は増える可能性があります。金利の変化は、立場によって影響の向きが異なる点も、押さえておきたいところです。
債券を例にもう少し補足します。上の計算は、満期が1年という単純な仮定でした。満期が長くなると、割り引く期間が増える分、金利が1%動いたときの価格変動はさらに大きくなります。このため、債券は一般に「安全」と思われがちでも、満期までの期間によっては価格が大きく動くことがあります。商品の仕組みと満期までの期間を確認することが、基本の一歩です。
金利と価格の関係は、あくまで基本的な傾向を示したものです。実際の価格は、景気、企業業績、需給、為替など多くの要因が重なって決まるため、金利だけで動きを説明することはできません。
考えるときの視点とリスク
金利の動きを予想して売買するのは、専門家でも難しいとされています。債券にも、金利変動による価格下落、発行元が支払えなくなる信用リスクなどがあり、元本割れの可能性があります。株式も、金利以外の多くの要因で動くため、金利だけで判断することはできません。
この記事は一般的な情報提供であり、特定の商品を勧めるものではありません。あなたの資産は、金利が変わったとき、どの部分が影響を受けやすいでしょうか。預金・債券・株式・ローンを並べて、整理してみてはいかがでしょうか。
この記事について:「基礎解説」の記事です。内容は公的機関などの出典と照らして確認することを方針としています。投資助言ではありません。誤りにお気づきの場合はお問い合わせからご連絡ください。