基礎解説
円高・円安の意味と、外貨建て資産や企業業績に為替がどう影響するかを、仮の計算例とともに基本から整理します。
投資の話題では、円高や円安といった為替の言葉がたびたび登場します。外国の株式や債券に投資する場合だけでなく、日本の企業の株価にも関係することがあります。この記事では、為替が投資に与える影響の基本を整理します。為替の将来の方向を予想するものではありません。
円高・円安とは何か
為替レートは、通貨同士の交換比率です。1ドル=150円が1ドル=140円になると、1ドルを手に入れるのに必要な円が減るため「円高」といいます。反対に、1ドル=150円が160円になれば「円安」です。円の価値が他の通貨より相対的に高まるのが円高、低くなるのが円安という整理になります。
外貨建て資産への影響
外国の資産を持つと、その資産の値動きに加えて、為替の変動が円換算の価値に影響します。仮に、1ドル=150円のときに100ドルの資産を持つと、円換算では15,000円です。資産の価格が変わらなくても、1ドル=140円になれば円換算は14,000円となり、1,000円減ります。逆に1ドル=160円になれば16,000円と、1,000円増えます。
つまり、外貨建て資産の円ベースの成果は、「資産そのものの値動き」と「為替の変動」の両方で決まります。為替が資産の価格の変化を打ち消すことも、増幅することもあります。
日本の企業にも為替は関係する
| 企業のタイプ | 円安の影響の例 | 円高の影響の例 |
|---|---|---|
| 海外への販売が多い | 円換算の売上が増えやすい | 円換算の売上が減りやすい |
| 原材料の輸入が多い | 仕入れ費用が増えやすい | 仕入れ費用が減りやすい |
ただし、実際の影響は価格設定、為替予約などの対策、海外での生産比率などによって異なります。「円安なら輸出企業の株が上がる」と単純に決まるわけではありません。
為替の変動に備える考え方
為替の動きを事前に正確に見通すのは専門家でも難しいとされています。そのため、外貨建て資産を持つ際には、一度にまとめて交換するのではなく、時期を分けて購入する方法が使われることがあります。積立シミュレーターでは、定期的に購入した場合の考え方を試算できます。ただし、分けて購入しても為替損失が出る可能性はなくなりません。
為替ヘッジ(為替変動の影響を抑える仕組み)を行う商品もありますが、ヘッジにはコストがかかる場合があり、影響を完全に消せるわけでもありません。
円高・円安を見るときの注意
為替は、円の価値と相手国の通貨の価値の相対的な関係で決まります。日本と相手国の金利の差、貿易や投資のお金の流れ、国際情勢など、多くの要因が複雑に絡みます。そのため、ある要因だけを取り上げて今後の方向を決めつけることはできません。
また、円高や円安は一方にだけ良い、あるいは悪いというものではありません。海外旅行や輸入品を買う家計、輸出を行う企業、外貨建て資産を持つ人など、立場によって影響は異なります。自分の資産や生活のどの部分が為替の影響を受けるのかを、あらかじめ整理しておくと、ニュースを自分事として読み解きやすくなります。
たとえば、投資信託を通じて海外の株式を間接的に持っている場合も、為替の影響を受けます。商品の説明書にある「為替ヘッジの有無」の記載を確認すると、どの程度影響を受けるかの目安になります。
為替のニュースには、短期の細かな動きを大きく伝えるものも多くあります。日々の変動と、数年単位での水準の変化とは分けて考えると、報道に振り回されにくくなります。外貨建て資産を持つ期間が長いほど、為替の水準の変化が円換算の成果に与える影響も積み重なる点は、意識しておきたいところです。
為替の影響の大きさは、持つ資産の種類や期間、ヘッジの有無によって異なります。自分の場合はどうかを、商品の説明資料で確認しておくと安心です。
考えるときの視点とリスク
- 為替の変動により、資産自体の価格が変わらなくても円換算で損失が出ることがあります。
- 為替の動きは多くの要因が絡み、将来の予想は困難です。
- 外貨に交換する際や戻す際に、手数料や為替の売買差が生じることがあります。
- 円建ての資産だけを持つ場合も、物価の変動を通じて間接的に影響を受けることがあります。
資産を円だけ、外貨も含めるなど、どの比率にするかは目的や期間によって異なります。現金・株式・金の性質の違いは現金vs株式vs金で、手段の違いは投資を比較するで確認できます。為替のリスクを理解したうえで、ご自身の状況に合った判断をしてください。
この記事について:「基礎解説」の記事です。内容は公的機関などの出典と照らして確認することを方針としています。投資助言ではありません。誤りにお気づきの場合はお問い合わせからご連絡ください。