基礎解説

日曜の朝刊です。10月30日(金)の東京市場の大引けから、同じ日の米国市場の終値(日本時間31日朝)、週末までのニュースを並べて「共通の元」を探しました。
第1幕 まず、ニュースを並べてみる
おはようございます。今日は日曜なので、金曜10月30日の東京市場の大引けから、その日の米国市場、週末までのニュースをまとめて並べます。まず、ひよりさん、東京の様子から。
日経平均は4日ぶりの大幅反落で、終値は1369円36銭安の6万3290円11銭でした。前場には一時1948円05銭安の6万2711円42銭まで下げています。ただ、週間で見ると596円95銭高で、乱高下した1週間でした。株探の大引けの記事は見出しだけ確認できて、「AI・半導体などに売り膨らむ」とありました。
きっかけは前日29日の米国です。決算を出したアルファベットが12.29%下がり、引け後に決算を出したアマゾンは時間外取引で大幅安、インテルは一時20%を超える下げだったそうです。ダイヤモンド・ザイの記事は、AIに巨額の投資をするハイテク企業への懸念が再燃した、と書いています。
その流れは30日の米国市場でも続きました。ダウ平均は572.25ドル安の5万1770.31ドル、ナスダックは747.72ポイント安で、下落率は2.86%です。個別では、インテルが28.58%安、AMDが10.88%安、エヌビディアが4.22%安。恐怖指数とも呼ばれるVIX指数は20を超えた、とみんかぶは伝えています。
VIX指数は、これから相場がどれくらい荒れそうかを、オプションの値段から計算した数字です。数字が大きいほど、投資家が値動きの大きさを警戒している、と読みます。
一方で、上がった会社もはっきりあります。オリエンタルランドは268円高の3438円。上期の営業利益が15.0%増の784億円で、通期の予想も1607億円から1854億円に引き上げました。コナミグループは3445円高の2万6385円です。上期の営業利益が73.1%増の1112億円、通期の予想は1430億円から1930億円へ。「eFootball」や遊戯王のカードゲームが好調だったそうです。
逆に、富士通はストップ安でした。700円安の3622円です。上期の営業利益は2.1%増の1076億円で、第1四半期の56.9%増から減速感が強く、市場予想も大きく下回った、と記事は書いています。ITサービスの採算悪化については、季節性や不採算案件といった特殊な要因が挙げられたそうです。
もうひとつ、30日のお昼に日銀の決定会合の結果が出ています。政策金利は1.25%のまま据え置き。そのうえで、一時的な要因を除いた物価の基調が、目標の2%に到達したと判断しました。2013年1月に目標を掲げてから、14年越しの判断です。持っているETFの売却も、簿価で年3300億円程度から8600億円程度に増やし、年明けから実施します。ザイの記事では、結果が伝わると日経平均が下げ渋る場面もあったそうです。
第2幕 ここまでの整理
| 会社 | 動き | 記事が挙げていた理由 |
|---|---|---|
| インテル(米) | 28.58%安(10/30) | 決算に失望。PC向け半導体の需要低迷と、データセンター向け製品の供給制約 |
| アルファベット(米) | 12.29%安(10/29) | AIに巨額投資するハイテク企業への懸念が再燃 |
| AMD/エヌビディア(米) | 10.88%安/4.22%安(10/30) | 個別の理由は記事になし。IT・ハイテク株全体が売られた日 |
| 富士通 | ストップ安、700円安の3622円(10/30) | 上期の営業利益が2.1%増にとどまり、市場予想を大きく下回った |
| オリエンタルランド | 268円高の3438円(10/30) | 上期の営業利益15.0%増、通期予想を上方修正 |
| コナミグループ | 3445円高の2万6385円(10/30) | 上期の営業利益73.1%増、通期予想と期末配当予想を引き上げ |
| エクソンモービル/シェブロン(米) | 上昇(10/30) | 第3四半期の利益が好調(エクソンは2022年以来の高水準) |
| 東京エレクトロン/キオクシア | 10/30の引け後に決算(株価の反応はまだ) | 東エレク:今期経常87%増の予想で2期ぶり最高益。キオクシア:上期最終が37倍増益 |
下がった側は米国のハイテク・半導体と富士通。上がった側は、オリエンタルランド、コナミグループ、米国の石油大手。そして、まだ株価がついていない東京エレクトロンとキオクシアの決算があります。ここに共通の元はあるでしょうか。
第3幕 共通の元を探す
いちばん太い線は、やはりAIです。ただ、10月27日の号で話した「AIへの期待の揺れ」とは、問いの形が変わってきたと思います。みんかぶの記事は、今週のアルファベットやメタの決算と同じく、「AIへの巨額投資を収益でカバーできるか」という懸念が再燃した、と書いています。AIが伸びるかどうかより、そのお金を回収できるのか、が問われている。
ただ、数字を見ると理由は会社ごとに違います。インテルは、PC向けの需要の低迷に、データセンター向け製品の供給制約が重なったとされています。AIのデータセンター投資がサーバー向け半導体の需要を押し上げる一方で、メモリー不足を通じてPC市場を圧迫している、という説明もありました。サンディスクは好決算だったのに13.47%安です。同じ「AI」でも、追い風の会社と逆風の会社が混ざっています。
慎重な立場から、ひとつ押さえておきたいのは、日本側の決算の数字です。金曜の引け後に、東京エレクトロンは今期の経常利益を87%増と初めて示して、2期ぶりの最高益予想。配当は523円です。キオクシアは上期の最終利益が前年の37倍の2兆1978億円でした。米国の空気とは逆の数字ですが、発表は引け後なので、株価がどう受け止めたかはまだ分かりません。
数字は強いですよね。ほかにも、パナソニックホールディングスが今期の最終利益を20%、TDKが24%上方修正しています。ただ、10月27日の号では、ラムリサーチが予想を上回る決算でも売られました。さっきのサンディスクもそうです。良い決算が、そのまま株価の上昇になるとは限らない。そこは認めます。
参考までに、みんかぶは、米国の取引が終わった時点で、CMEの日経平均先物が、大阪の終値より800円安い6万2690円だったと伝えています。とはいえ、これは日本の月曜より前の時点の値段です。月曜の寄り付きを言い当てる材料にはなりません。
では、オリエンタルランド、コナミグループ、富士通の動きも、AIの話と結びつくのでしょうか。
記事が挙げている理由は、3社とも自社の決算です。オリエンタルランドは東京ディズニーシーの25周年のイベントで入園者数などが増えたこと、コナミグループはゲームの好調、富士通は上期の減速です。AI株が売られた日に逆行高した、というのは事実ですが、資金がAIから移ったとまで書いた記事は見ていません。ここは結びつけずに、「決算シーズンでは、会社ごとの中身で明暗が分かれた」と言うのが正確だと思います。
金利についても一言。日銀は今後、物価を抑えることに重心を移すとされ、時事通信は、市場では12月の追加利上げが有力視されていると伝えています。米国でも、財経新聞によると、ダラス連銀のローガン総裁が少なくとも「あと2回の利上げ」が必要だと述べたそうです。金利が上がる方向の話は、将来の利益への期待で買われてきた株には向かい風になりやすい。ただ、それが金曜の株安の理由だと書いた記事はないので、これは私の仮説です。
最後に来週の予定です。みんかぶによると、アップルとAMDの決算、米国の中間選挙、米雇用統計が控えていて、値動きの荒い展開が警戒されているそうです。
1. 共通の元は「AIへの投資を、収益で回収できるか」という問いです。アルファベット、アマゾン、インテルの決算をきっかけに、米国のハイテク・半導体株が売られ、東京でもAI・半導体関連に売りが出ました。前回の号の「AIへの期待の揺れ」から一歩進んで、「伸びるか」より「稼げるか」が問われている、というのが記事から読み取れる流れです。
2. 明暗を分けたのは、テーマより会社ごとの決算でした。オリエンタルランドとコナミグループは好決算で上がり、富士通は減速でストップ安。同じAI関連でも、インテルとサンディスクでは下げた理由が違います。逆行高の3社とAI株安を「資金の移動」で結ぶのは、今日の記事からは確かめられません。
3. 確かめられたことと、仮説を分けておきます。確かめられたのは、決算への失望で米ハイテク株が下がったこと、日銀が金利を据え置いて物価2%の到達を判断したこと、東京エレクトロンとキオクシアが強い決算を出したこと。仮説は、金利の上がる方向の話が株の重しになっているかもしれない、という点です。東京エレクトロンとキオクシアの決算を株価がどう受け止めるかは、まだ誰にも分かりません。
最後に、この座談会は「あとから理由を付けた」ものです。同じ記事を読んでも、翌日の株価を当てられるわけではありません。ですので、これは売買の推奨ではありません。結論は、読者のみなさんが決めてください。
読んだニュース
- 好決算のOLCやコナミGが大幅高! 富士通はストップ安/日経平均急反落【今日の注目株&日本株市場見通し】「デイリーZAi」10月30日号(ダイヤモンド・ザイ/Yahoo!ニュース)
- 【↓】日経平均 大引け| 4日ぶり大幅反落、AI・半導体などに売り膨らむ (10月30日)(見出しのみ確認)(株探)
- NY株式:NYダウは572.25ドル安、ハイテク企業の低調な決算でAI巨大投資への警戒強まる(財経新聞)
- ダウ平均、ナスダックとも大幅安 アマゾンとインテルの決算に失望=米国株概況(みんかぶ)
- 日銀、物価2%目標到達と判断 14年越し、インフレ抑制に軸足―政策新局面、金利は据え置き(時事通信)
- 【決算速報】キオクシア、上期最終が37倍増益で着地・7-9月期も33倍増益(株探/Yahoo!ファイナンス)
- ★本日の【サプライズ決算】続報 (10月30日)(株探/Yahoo!ファイナンス)
- 東エレク、未定だった27年3月期予想は最終益51%増 上限1.1%の自社株買いも(見出しのみ確認)(みんかぶ)
※教育目的の読み物で、投資の助言ではありません。記事の数字は各報道に基づき、読めなかった部分は書いていません。
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