基礎解説
借入額と金利が変わると返済額がどう動くかを、仮の数字で確認しながら、金利変動への備え方を整理します。
不動産投資では、購入資金の多くをローンでまかなうことがあります。ローンは少ない自己資金で投資を始められる一方、金利が変わると返済額と手残りが動きます。この記事では、仮の数字で金利の影響の大きさを確認し、考え方を整理します。
ローンが収支に与える影響
家賃収入から経費とローン返済を引いた残りが、手元に残るお金です。返済額は借入額・金利・返済期間で決まります。同じ家賃収入でも、返済額が大きければ手残りは小さくなり、場合によってはマイナスになります。
仮の数字で金利の違いを見る
仮に、借入額2,000万円、返済期間35年、元利均等返済、金利が一定という条件で計算します。これは説明のための架空の数字です。
| 金利(年・仮) | 毎月の返済額 | 年間の返済額 |
|---|---|---|
| 1.5% | 約61,237円 | 約73.5万円 |
| 2.5% | 約71,499円 | 約85.8万円 |
| 3.5% | 約82,658円 | 約99.2万円 |
金利が1.5%から2.5%に1ポイント変わるだけで、年間の返済額は約12.3万円の差になります。これは家賃収入が年間で同じ額だけ減ったのと同じ効果です。なお、これは将来の金利を予想したものではなく、感度を見るための試算です。
実際のローンは、金利が一定の期間と変動する期間の組み合わせなど、商品によって仕組みが異なります。契約前に、金利の見直し時期や返済額が変わる条件を契約書で確認する必要があります。
変動金利と固定金利の考え方
- 固定金利は、一定期間の返済額が読みやすい。ただし、金利水準が変動型より高く設定されることがある。
- 変動金利は、金利が見直されるたびに返済額や元本と利息の内訳が動きうる。
- どちらが有利かは結果論であり、事前にはわからない。
どちらを選ぶかより、「金利が上がった場合でも返済を続けられるか」を先に確認する方が実務的です。
返済の余力を確認する方法
- 想定金利より1〜2ポイント高い場合の返済額を試算しておく。
- 家賃収入が減る場合と組み合わせて、手残りがマイナスになる水準を把握する。
- 手元資金を、数か月分の返済と経費をまかなえる程度に確保しておく。
- 繰り上げ返済や借り換えの条件(手数料など)を確認しておく。
試算には不動産キャッシュフロー計算が使えます。利回りの水準の確認は利回り計算ツールで行えます。
借入額と自己資金のバランス
金利の影響を小さくする方法の一つが、借入額を抑えることです。仮に、物件価格2,500万円で、頭金500万円・借入2,000万円とする場合と、頭金1,000万円・借入1,500万円とする場合を比べます。金利1.5%・35年なら、毎月の返済額は前者が約61,237円、後者が約45,928円です。借入が減れば返済は軽くなりますが、手元の現金も500万円少なくなります。
返済負担の目安として、年間の返済額が年間の家賃収入の何割にあたるかを見る方法もあります。仮に年間家賃収入を120万円とすると、借入2,000万円・金利1.5%の年間返済は約73.5万円で、家賃収入の約61%です。ここに管理費や税金などの経費が加わるため、割合が高いほど余裕は小さくなります。この数字も説明用の架空のものです。
契約前には、返済額の数字だけでなく、条件面も確認しておきましょう。金利を見直す頻度、見直しのときに返済額がどう変わるルールか、繰り上げ返済の手数料、団体信用生命保険の有無や内容、そして担保評価と融資額の関係などです。融資の条件は金融機関ごとに異なり、同じ物件でも提示が変わります。複数の条件を並べて比べることが、自分に合う借り方を見つける第一歩です。
考えるときの視点とリスク
借入額が大きいほど、金利変動の影響は金額として大きく表れます。自己資金を多く入れて借入を減らせば、影響は小さくなりますが、手元資金も減ります。ここには「資金の余裕」と「投資の効率」のトレードオフがあります。
また、金融機関の審査条件や融資姿勢は時期や属性で変わるため、同じ条件で借りられ続けるとは限りません。返済額が収入を上回る状況が続いた場合、追加の資金拠出や売却を迫られる可能性があります。
金利の先行きは誰にも断定できません。そのため、現在の水準より金利が上がる場面も試算に入れたうえで、「それでも続けられるか」で判断することが大切です。比較の視点は比較ページ、当サイトの方針は編集方針をご覧ください。
この記事について:「基礎解説」の記事です。内容は公的機関などの出典と照らして確認することを方針としています。投資助言ではありません。誤りにお気づきの場合はお問い合わせからご連絡ください。