基礎解説

週明け月曜の朝刊です。金曜10月30日の東京市場と米国市場は日曜の号で扱ったので、今日は金曜夕方の夜間取引(PTS)から週末に出たニュース、そして祝日をはさむ今週の予定を並べて「共通の元」を探しました。
第1幕 まず、ニュースを並べてみる
おはようございます。月曜の朝刊です。金曜30日の東京と米国の動きは、日曜の号でお伝えしました。今日は、金曜の夕方から週末までに出たニュースと、今週の予定を並べます。まず、まもるさん。
AIの「お金」の側のニュースからです。ロイターによると、英紙フィナンシャル・タイムズが、OpenAIが資金調達の目標を100億ドル引き下げたと報じました。当初は企業評価額1兆4000億ドルで300億ドルを集める計画でしたが、いまは1兆2500億ドルで200億ドルを目指しているそうです。一部の投資家が出資額を減らした、とも書かれています。
一方で、AIの「需要」の側は強い数字です。ロイターによると、韓国の10月の輸出は前年同月比93.7%増の1152億8000万ドルで、1974年1月以来の大きな伸びでした。半導体の輸出は259.4%増の564億4000万ドルで、輸出全体のほぼ半分。AIサービス向けのサーバー需要で、コンピューターの輸出も496.6%増えたそうです。
次に、日本の金曜夕方の動きです。株探によると、30日の夜間取引の17時30分時点で、売買が成立したのは313銘柄。東証の終値と比べて、上がったのが115銘柄、下がったのが173銘柄でした。日経平均の構成銘柄に限ると、値上がり21に対して値下がり47で、売りが優勢です。
PTSは、証券取引所の外で株を売り買いできる仕組みです。夕方や夜にも取引できるので、取引所が閉まったあとに出た決算への反応が、先に表れることがあります。ただ、取引の量は少ないので、値段は大きく振れやすいと考えておきましょう。
その17時30分時点で、日経平均の構成銘柄の値上がり率の1位はパナソニックHDの7.4%高、3位が東京エレクトロンの4.6%高、TDKも2.3%高でした。パナソニックHDとTDKは日曜の号で触れた業績予想の上方修正を、東京エレクトロンは最高益の予想を出した会社ですね。
反対に、値下がり率の上位にはSCREENホールディングスの3.6%安、レーザーテックの3.0%安、アドバンテストの1.3%安が並びました。同じ半導体関連でも、上がった会社と下がった会社に分かれています。ただ、この記事には、それぞれの理由は書かれていません。
キオクシアは、同じ記事では17時30分時点で0.6%高でした。ところが、19時すぎの株探の別の記事では、PTSで東証の終値より7%安くなる場面があったそうです。上期の最終利益は前年の37倍の2兆1978億円でしたが、10〜12月期の最終利益の予想は1兆3600億円で、前の四半期と比べると0.3%増にとどまる、と記事は書いています。
第2幕 ここまでの整理
| 会社 | 動き | 記事が挙げていた理由 |
|---|---|---|
| OpenAI(米) | 資金調達の目標を100億ドル引き下げ(FTの報道をロイターが31日に配信) | 一部の投資家が出資額を減らした |
| 韓国の輸出統計 | 10月の輸出93.7%増、半導体は259.4%増(11/1配信) | AI投資ブームで半導体が伸びた。AIサーバー向けの需要 |
| パナソニックHD/TDK | PTSで7.4%高/2.3%高(10/30 17時30分時点) | 理由は記事になし(日曜の号で触れた上方修正の発表あり) |
| 東京エレクトロン | PTSで4.6%高(10/30 17時30分時点) | 理由は記事になし(30日の引け後に決算) |
| キオクシア | PTSで0.6%高(17時30分時点)→ 7%安の場面(19時すぎの記事) | 10〜12月期の最終利益予想が前四半期比で0.3%増にとどまる |
| SCREEN/レーザーテック/アドバンテスト | PTSで3.6%安/3.0%安/1.3%安(10/30 17時30分時点) | 理由は記事になし |
AIの需要を示す数字は強く、AIに集まるお金の話は細くなっている。そして、金曜夜の日本の半導体関連は、上と下に分かれました。ここに共通の元はあるでしょうか。
第3幕 共通の元を探す
私は、共通の元は今回も「AI」だと思います。韓国の輸出の数字を見ると、AI向けの半導体やサーバーの需要は、統計にはっきり出ています。東京エレクトロンが夜間に上がったのも、その流れの中で決算が受け止められた、と見たいところです。
需要が強いことは、私も認めます。ただ、日曜の号で話した「AIへの投資を、収益で回収できるか」という問いは、週末も続いています。外為どっとコムの記事は、アマゾンの直近12カ月のフリー・キャッシュフローが約424億ドルの赤字だったと書き、投資を手元の稼ぎで賄えない状態が続けば、借り入れなどで財務の負担が増す可能性がある、と見ています。OpenAIの調達目標の引き下げも、その文脈で読めるかもしれません。
数字の確認をさせてください。韓国の輸出の記事には、日本の会社の名前は出てきません。ですから、韓国の半導体輸出の伸びを、日本のどの銘柄の追い風とつなげることは、今日の記事からはできません。それから、PTSの数字は17時30分時点の一場面で、成立は313銘柄だけです。キオクシアが17時30分時点では上、その後の夜には7%安の場面があったように、月曜の東京の値段を示すものではありません。
そこは、そのとおりです。キオクシアについては、上期が37倍でも、記事の見出しは「前四半期比で微増」という点を並べています。投資家が、すでに出た数字より、これからの伸び方を見ていたのかもしれない。ただ、売られた理由を記事がそう書いているわけではないので、これは私の仮説です。
金利と相場の土台も見ておきます。TBLアドバイザリーの記事によると、前週末の時点で、ドル円は157円58銭、新発10年債の利回りは2.756%、WTI原油は103ドル09セント、金は3898ドル90セントで4000ドルを割り込みました。外為どっとコムは、6日の米雇用統計が予想より強ければ、12月の追加利上げの観測が高まり、米ハイテク株の上値を抑える要因になりうる、と見ています。
雇用統計は、アメリカで働く人の数や失業率を毎月まとめた統計です。景気の強さを測る代表的な数字なので、金利の見通しに影響しやすいんです。では、今週の予定を並べてみましょう。
記事によると、米国では2日にアップルの決算とISM製造業景況指数、3日に中間選挙。外為どっとコムによると、AMDの決算は日本時間4日の早朝です。日本は3日が文化の日で休場なので、TBLアドバイザリーの記事は、中間選挙の結果と、伊藤忠商事・三井物産・三菱商事・丸紅の商社4社やNTTの決算が、休場明けの4日に重なると指摘しています。5日にはトヨタ自動車、ソニーグループ、任天堂の決算と日銀の議事要旨、6日に米雇用統計です。
1日で東京が動けない間に、大きな材料がまとまって出るわけですね。ザイ・オンラインの村瀬智一さんは、今週の日経平均を6万1000〜6万5000円、TBLアドバイザリーは6万1500〜6万4500円と見ています。村瀬さんは、業績の上方修正や株主還元を打ち出す銘柄には、個別に買いが向かいやすいと見ているそうです。
その幅は、あくまで書き手の見方です。村瀬さんは同じ記事で、日銀の追加利上げの観測、原油、為替への警戒も必要だとしています。予想の幅を、そのまま今週の答えだと受け取らないほうがいいと思います。
1. 共通の元は、AIの「需要の強さ」と「お金の集まり方」のずれではないか、というのが今日の見立てです。韓国の10月の輸出では半導体が259.4%増え、ロイターはAI投資ブームが背景だと伝えています。一方で、OpenAIは資金調達の目標を100億ドル引き下げたと報じられています。日曜の号の「AIへの投資を、収益で回収できるか」という問いは、週末も答えが出ないまま続いています。
2. 金曜夜の日本の半導体関連は、会社ごとに分かれました。PTSの17時30分時点で、東京エレクトロンやパナソニックHDは上がり、SCREENやレーザーテックは下がりました。キオクシアは、上期の最終利益が37倍でも、夜には7%安の場面がありました。ただ、PTSは取引の少ない時間帯の一場面で、理由が書かれていない動きも多くあります。
3. 確かめられたことと、仮説を分けておきます。確かめられたのは、韓国の輸出の伸び、OpenAIの調達目標の引き下げの報道、金曜夜のPTSでの値動き、そして今週の予定です。仮説は、キオクシアが「これからの伸び方」で売られたのかもしれない、という点と、OpenAIの話が回収への懸念の表れかもしれない、という点です。韓国の輸出を日本の個別の会社と結びつけることは、今日の記事からはしませんでした。
今週は、3日の休場の間にアップルの決算、米中間選挙、AMDの決算が出て、4日以降に日本の大手の決算と米雇用統計が続きます。
最後に、この座談会は「あとから理由を付けた」ものです。同じ記事を読んでも、今日や今週の株価を当てられるわけではありません。記事に出てきた予想の幅も、書き手の見方です。ですので、これは売買の推奨ではありません。結論は、読者のみなさんが決めてください。
読んだニュース
- 韓国輸出、10月はほぼ倍増 AI投資ブーム受け半導体伸長(ロイター/Yahoo!ニュース)
- オープンAI、資金調達目標を100億ドル引き下げ=FT(ロイター/Infoseekニュース)
- [PTS]ナイトタイムセッション17時30分時点 上昇115銘柄・下落173銘柄(東証終値比)(株探)
- キオクシアがPTSで急落、10~12月期最終利益予想は前四半期比で微増(株探(MINKABU PRESS))
- 米中間選挙は3日だが、東京が動くのは休場明けの4日|週間金融市場展望と投資戦略【11月2日-6日】(世界一やさしい投資の学校(TBLアドバイザリー))
- 来週(11/2〜11/6)の日経平均株価の予想レンジは6万1000~6万5000円! 米・中間選挙や雇用統計、アップル決算、さらに金融政策や金利の動向に注目!(ザイ・オンライン)
- 来週の日経平均見通し(11/2~11/6)|AI関連株の下落は続くのか?AMD決算・米雇用統計に注目(外為どっとコム マネ育チャンネル)
※教育目的の読み物で、投資の助言ではありません。記事の数字は各報道に基づき、読めなかった部分は書いていません。
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