比較・ツール解説
全世界株式型と米国株式型の投資対象、分散、為替、リスクの違いを中立的に比較して整理する。
株式型の投資信託を調べると、「全世界株式」と「米国株式」という2つの分類をよく目にします。どちらが優れているかを断定することはできませんが、考え方の違いを知っておくと、自分の目的に合った整理がしやすくなります。この記事では、特定の商品名を出さずに中立的に比較します。
それぞれが投資する範囲
全世界株式型は、先進国と新興国を含む世界の株式に幅広く投資する考え方の商品です。一般に、組み入れる国や企業の比重は、時価総額(企業の市場での価値の大きさ)をもとに決まります。米国株式型は、名前のとおり米国の株式に投資対象を絞った商品です。
ただし、全世界株式の中でも、米国企業が占める割合が大きい商品が多いとされます。つまり両者は全く別物ではなく、米国以外にどの程度の割合を持つかの違いと言えます。実際の比率は商品や時期によって異なるため、各商品の資料で確認する必要があります。
| 観点 | 全世界株式型 | 米国株式型 |
|---|---|---|
| 投資対象 | 世界の多くの国・地域 | 米国のみ |
| 分散の幅 | 国・地域の分散が広い | 国は1つだが、企業数は多い |
| 為替の影響 | 複数通貨の影響を受ける | 主に米ドルの影響 |
| 値動きの特徴 | 地域間で打ち消し合う場面がある | 米国市場の動きに連動しやすい |
全世界型の考え方とその注意点
全世界型の利点は、特定の国に集中するリスクを抑えやすい点です。ある国の景気が悪化しても、他の地域が補う可能性があります。どの地域が今後伸びるかを予想しなくても、市場全体に投資できるという考え方です。
一方で、成長力が高い国や企業に絞った場合と比べると、リターンが小さくなる局面もあります。新興国の株式を含むため、政情や規制の変化で値動きが大きくなることもあります。
米国型の考え方とその注意点
米国型の利点は、世界最大規模の市場に投資できること、投資対象が分かりやすいことです。世界的に事業を展開する企業も多く、米国企業を通じて世界の需要に間接的に関われるという見方もあります。
一方で、1つの国に投資対象が集まるため、その国の経済や政策、規制の影響を強く受けます。過去の好成績が今後も続く保証はなく、市場が長期間停滞した時期もあります。また、円から米ドルへの為替の影響も加わります。
組み合わせや選び方の整理
どちらか一方を選ぶだけでなく、組み合わせる考え方もあります。たとえば仮に、月3万円を積み立てる場合、全世界型に2万円、米国型に1万円と分ければ、年間の合計は3万円×12か月=36万円です。ただし、全世界型の中にすでに米国株が含まれるため、組み合わせると米国の比重が高くなる点は理解しておきましょう。
長期の積立でどう推移するかは、複利シミュレーターで仮の利回りを入れて試算できます。この利回りは将来を予想したものではなく、あくまで仮定です。
指数のつくり方が違いを生む
株式型ファンドの多くは、特定の株価指数に連動することを目指して運用されます。全世界型が連動を目指す指数と、米国型が連動を目指す指数では、組み入れる企業の数や選定の基準が異なります。企業数が多いほど分散は広がりますが、時価総額の大きい企業の影響を受ける点は、どちらの指数にも共通しています。
また、指数に連動するタイプと、運用者が銘柄を選ぶタイプとでは、費用や値動きの性質が変わります。同じ「米国株式」の名前でも、運用方針の違いで、成績の振れ方や信託報酬の水準が異なることがあります。名前だけで判断せず、運用方針の欄を読むことが大切です。
さらに、為替ヘッジの有無でも結果は変わります。為替ヘッジありの商品は為替の影響を抑えやすい一方、ヘッジに費用がかかります。ヘッジなしの商品は、円高になると円換算の価値が下がる場合があります。どちらが有利かは、その後の為替の動き次第で、あらかじめ判断することはできません。
なお、新興国を含むかどうかも、全世界型の中で確認したい点です。先進国のみを対象とする商品と、新興国まで含む商品があり、名前が似ていても投資範囲が異なる場合があります。
考えるときの視点とリスク
どちらの型でも、株式である以上、価格が下落して元本を割り込むリスクがあります。判断の際は、(1) 1つの国への集中をどこまで許容するか、(2) 為替の変動をどう受け止めるか、(3) 商品の手数料と運用方針、の3点を確認しましょう。
「全世界のほうが安全」「米国のほうが有利」と単純に言い切れるものではありません。違いを理解したうえで、自分の目的と許容度に合わせて決めることが大切です。複数の選択肢の比較には比較ページも役立ちます。
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