基礎解説
債券ファンドの価格が金利と逆に動くしくみとデュレーション、信用・為替リスクを整理する。
債券ファンドは、国や企業などが発行する債券を中心に運用する投資信託です。株式より値動きが小さいとされることが多く、資産配分の一部に使われますが、「債券は安全」と思い込むのは誤りです。この記事では、債券ファンドの基礎として、金利と価格が逆に動くしくみを整理します。
債券とは何か:利息と満期
債券は、発行体が投資家からお金を借りる際の証書のようなものです。定められた利息(クーポン)を定期的に支払い、満期に額面金額を返す約束をしています。ただし、発行体の財務が悪化すれば、約束が守られない信用リスクもあります。
個別の債券は満期まで持てば額面が戻りますが、多くの債券ファンドは満期がなく、債券を入れ替えながら運用します。そのため、ファンドの価格(基準価額)は、保有する債券の市場価格の変動を受けます。
金利と債券価格のシーソー関係
債券の市場価格は、市場の金利と逆方向に動くのが基本です。たとえば、利率1%の債券を持っているときに、新しく発行される債券の利率が2%に上がったとします。すると、1%の既存債券は魅力が下がり、市場での価格が下がります。逆に金利が下がれば、既存債券の価格は上がります。
- 市場金利が上がる → 既存の債券価格は下がる傾向
- 市場金利が下がる → 既存の債券価格は上がる傾向
- 利息収入は価格変動とは別に積み上がる
デュレーションで感応度を見る
金利変動に対して価格がどれだけ動きやすいかを示す目安が「デュレーション」(残存期間に近い概念)です。数字が大きいほど、金利変動の影響を受けやすくなります。
概算の考え方として、仮にデュレーションが5年のファンドで、金利が1%上昇した場合、価格はおよそ5年×1%=5%下落する計算です(利息収入や他の要因は無視した単純化です)。デュレーションが2年なら、同じ1%の金利上昇でおよそ2%の下落で、影響は小さくなります。実際の値動きはこの計算どおりになるとは限りません。
| 種類の例 | 金利変動への感応度 | 主なリスク |
|---|---|---|
| 短期債中心 | 小さい傾向 | 利回りが低くなりやすい |
| 長期債中心 | 大きい傾向 | 金利上昇時の価格下落 |
| 社債を含む | 発行体により異なる | 信用リスク |
| 外貨建て | 為替の影響も加わる | 為替変動 |
債券ファンドの使いどころを考える
債券ファンドは、株式と値動きの方向が異なる場面があるため、資産全体の値動きをなだらかにする目的で組み入れられることがあります。ただし、株式と債券が同時に下がる局面もあり、常に打ち消し合うわけではありません。
株式だけの積立と、債券を含めた積立でどう違いが出るかは、複利シミュレーターで仮の利回りを入れて比べられます。この利回りは将来を予想するものではありません。債券の割合が高いほど、一般に値動きは小さい一方、長期のリターンの見込みも小さくなる傾向があります。
利回りと分配金の読み方
債券ファンドの資料には「最終利回り」や「直接利回り」といった数字が載ることがあります。最終利回りは、保有する債券を満期まで持った場合の見込みに近い数字で、将来の成績を約束するものではありません。直接利回りは、利息収入だけを見た数字で、価格変動は含まれません。どの利回りかを確認せずに数字だけを比べると、誤解のもとになります。
また、分配金が高く見えるファンドは、利息のほかに元本の一部を払い出している場合があります。分配金の水準だけでなく、基準価額の推移とあわせて確認する必要があります。信用力の低い債券を多く組み入れると利回りが高く見えることがありますが、その分、発行体が元本や利息を支払えなくなるリスクも高くなります。
さらに、金利が上昇した後は、新しく組み入れる債券の利回りが高くなるため、時間をかけて収入面が改善する可能性もあります。ただし、これは価格が下がったあとの回復を保証するものではなく、結果は金利の動きや運用期間によって異なります。
国内債券と外国債券でも性質は異なります。外国債券は、現地の金利動向や為替の影響を受けるため、同じ債券ファンドでも値動きの要因が増えます。
考えるときの視点とリスク
債券ファンドの主なリスクは、(1) 金利上昇による価格下落、(2) 発行体の信用リスク、(3) 外貨建ての場合の為替変動、(4) 運用コスト、の4つです。元本は保証されず、預金とは性質が異なります。
確認するときは、ファンドの平均デュレーション、投資先の信用格付けの構成、信託報酬を資料で見ましょう。目的や期間に合わせて割合を決める考え方は、比較ページも参考になります。資料の見方は投資信託協会の情報も役立ちます。
この記事について:「基礎解説」の記事です。内容は公的機関などの出典と照らして確認することを方針としています。投資助言ではありません。誤りにお気づきの場合はお問い合わせからご連絡ください。